本日は読書記録(*≧∀≦*)
アガサ・クリスティーの
「ポケットにライ麦を」
ミス・マープルの長編です。
投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。
その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟まれた絞殺死体として発見された事件があった。
義憤に駆られたマープルは、犯人に鉄槌を下すべく屋敷に乗りこんだ。
マザー・グースに材を取った中期の傑作。
こちらは再読。
以前読んだはずなのに、内容をほとんど覚えていなかったので
初めて読むように読めました。
ラストは胸が締め付けられる
私が読んだのは、宇野利泰さんの訳ですが
ラスト、胸が詰まって涙が出ました。
紹介文にもある、ミスマープルが仕込んだメイドは
グラディスという名前なのですが
このグラディスがミスマープルに宛てた手紙は
本当に胸に刺さりました。
なんて苦しくて、なんて悲しい。
疑うという事を知らない無垢な美しさと
無垢で無知ゆえのおろかさと。
こんな切ないラストをすっかり忘れていたなんて
初めて読んだ当時の私は若くて幸せだったんだなぁと改めて思う。
幸せ過ぎて琴線に触れなかったんだろうか・・・。
それとも、今の私が年を取って涙もろくなったんだろうか。
ミスマープルという人
ミスマープルの犯罪者に対する
容赦のない怒りと厳しい姿勢は、
どの作品でも割とブレずに一貫しているのですが
この作品は、特に、ミスマープルの人となりが伺えると思います。
殺されたメイドのグラディスは、ミスマープルにとっては
いってしまえば赤の他人です。
親族でもないし、行儀作法を仕込んだといっても
特別に思い入れがある子というわけでもない。
それなのに、そんな赤の他人の為に
自ら殺人犯がいるところへ乗り込んでいくんですから。
また、現在は新訳版が出ているようです。
新訳版は、山本やよい訳です。